ものもらいはどこからもらってくるの?
まぶたが腫れて痛い「ものもらい」、どこからもらってくるのでしょうか?
「ものもらい」は、名前からすると伝染る病気のようですが、うつりません。
もともと「ものもらい」は、江戸時代に「三軒の家から米をもらって食べるとなおる」(福島県東白河郡)「よその家へ乞食に行くと、ものもらいが治る」(岐阜県土岐市)などと「これを治すために人からものをもらう」という民間療法があり、このため「めこじき(目乞食)」などとも呼ばれていました。
このような民間療法が途絶えた今も名前だけが残り、イメージで伝染ると思われているのです。
この「ものもらい」には地域によって呼び方がいろいろあり、
近畿地方では「めばちこ」、
愛知、三重などの東海地方では「めいぼ」「めぼ」、
宮城県では「ばか」、熊本県では「おひめさん」などなどさまざまです。
「ものもらい」は主に東日本で使われており、東京・千葉などの関東圏の90%近くで使われています。
北海道では「めっぱ」がもっとも多く使われ、50%近くの方が「めっぱ」、30〜40%で「ものもらい」、数%で「めんちょ」を使われているようです。
(そういえば、北海道弁の代表例を挙げる時に「めっぱ、なまらいずくてわや!」なんていいますね・・・。
まぶたが腫れて痛い「ものもらい」、どこからもらってくるのでしょうか?
「ものもらい」は、名前からすると伝染る病気のようですが、うつりません。
まぶたのきわには、マイボーム腺、ツァイス腺、モール腺などという涙の一部の成分の分泌を行っている場所があります。
マイボーム腺が詰まって、中に脂の塊がプチプチとできるのが「マイボーム腺梗塞」、詰まったことが原因で炎症が起きて肉の塊が出来てくるのが「霰粒腫」です。
「霰粒腫」は非感染性炎症性肉芽腫といって、コロコロした肉の塊が特徴的です。
基本的には痛みを伴わないことが多いのですが、急性炎症を起こすとその周囲が化膿して膿がたまることもあります。
「マイボーム腺梗塞」は、顕微鏡で覗きながら小さく切開を入れて中の脂の塊を押し出すと改善します。
霰粒腫の治療は、炎症が消退して小さくなるのを待つのが基本ですが、ステロイド懸濁液の注射をして消退を早める方法があります。ただ、あまり大きい場合などは切開して中の肉の塊(粥状)を取り出したほうがよい場合もあります。
マイボーム腺に細菌感染を起こしたのが「マイボーム腺炎」、ツァイス腺、モール腺に細菌感染を起こしたものが「麦粒腫」です。 これは化膿して中に膿がたまってきます。
抗生物質の目薬、軟膏、内服薬などで細菌を抑えていきます。膿の量が多い場合には切開して膿を出してしまうと治るのが早くなります。
麦粒腫は炎症がおさまれば数日で治りますが、霰粒腫は、同じ状態のまま何ヶ月も続くこともあります。
ものもらいのいちばんの原因は?
まぶた周辺が不衛生になることです。
とくに若い女性の場合、まつげの内側まで化粧をするようなメイクをしていると、分泌腺の出口がメイクでふさがれてよくありません。
コンタクトレンズ装用の方、にきびができやすい方も通常の方に比べるとものもらいになりやすいと言われています。
年代でみると、10代から30代の人に多く、季節的に夏場や季節の変わり目に比較的多くみられます。
その原因として、夏場の時期に多くの汗をかき不衛生になりやすく抵抗力が低下しものもらいになるようです。
ものもらいでかゆみや痛みがあり場合は、お早めに眼科医のもと適切な処置とお薬で治しましょう。
また、ものもらいができている間はコンタクトレンズ装用は中止して下さい。
改めて ものもらいはうつるの?
感染症と聞くと、伝染病のもののような印象を受けるかもしれませんが、ものもらいの原因はウィルスではなく雑菌が原因ですので人から人へうつることはありません。
誰の肌にも存在する菌が、何らかのきっかけで炎症を起こしものもらいになりますので、友達や家族がものもらいになったからと言って、接触するのに神経質にならなくても大丈夫です。
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